新事業創造プログラム 3)実施事例
① 新事業提案プログラムの事例 (情報通信企業、売上高0.8兆円)
- 自主チームで検討する価値創造テーマ(新事業のコンセプトと事業計画)と、個人テーマ(リーダーシップと成長)を、同時並行で進める
- 現行のプログラムをベースに、実施して得た知見を元に全体構成を若干見直し、「ダイバーシティ環境で求められるリーダーシップ」を追加
- チームで検討する価値創造のテーマは、「グローバル×成長戦略」を基軸に自主的に選択し、実際に顧客インタビュー等を進め(アクション・ラーニング)、貴社の新規事業として採択されうる事業計画の作成を目指す
- 個人テーマでは、マネジメント特性診断ツールを活用し、現実の職場の中で、自分がいかに価値創造に貢献し、またリーダーシップを発揮するか、メンターの指導のもと検討し、また参加者相互で刺激しあう
② 技術シーズ事業化探索の事例 (化学会社、売上高0.4兆円)
この会社では、大きな変化が期待させるエネルギー分野で、自社の持つ技術のシーズを活かす機会がないかを検討するために、プロジェクトを立ち上げました。
技術戦略部門と研究所の主要スタッフの約10名を中心に、研究所のスタッフ計100名近くが参加し、約半年の検討を進めました。
1st Step では、検討可能な事業領域を洗い出しました。
そして収集した情報を、市場の魅力度と自社の優位性で初期的に評価し、評価結果をマトリクスにプロットし、検討を進める事業領域を6つ選定しました。
たとえば、1st Step で選んだ自動車軽量化のテーマについては、まず、複数の関係者・専門家や想定顧客にヒアリングし、市場の理解を深めました。そして、顧客ニーズと自社の強みの検討を通じ、開発・提案すべき製品・サービスのイメージを固めていった。
当時、自動車軽量化は現在のように注目されていたテーマではありませんでしたが、現在この会社はこの分野において大きな優位性を発揮して、事業を展開しています。
③ 開発技術の事業計画の作成 (技術系企業、売上高0.5兆円)
「将来有望」として、長年研究が続けられたある新技術について、CS(顧客セグメント)とVP(提供価値)を、必要に応じて外部へのヒアリングをしながら、事業化に向けた事業計画を検討しました。
しかし、現実的な顧客を想定して、その技術が彼らの課題を解決するか否かを考えると、他の技術の進歩もあり、ほとんどの場合、この技術があっても顧客の課題は解決できないことがわかってきました。
さまざまな顧客を想定したにもかかわらず、事業化の可能性が見えてこず、検討の結果、10年以上に続けてきた独自技術の開発を中止しました。
このように、優れた技術を持っていても、必ずしも事業化できるとは限りません。そのような場合、いたたずらに人材の投入を続けずに、事業化を諦める、といのも良い選択です。
④ イノベーション・リーダー育成の事例(情報機器販売、売上高0.2兆円)
この企業は、クラウド化などの進展に伴う既存の情報機器の売上高減少に伴い、新たな販売商材や事業開発に迫られていました。
検討の結果、全国に張り巡らせた販売店網を活用した新たな事業が複数構想され、また顧客ヒアリングを通じた事業モデルの検証も進みました。現在では、次世代の経営の柱としてこれら新事業が成長することが、大いに期待されています。
なお、この企業では、全国から選抜した参加者をリーダーとして育成するという経営陣の意思のもと、リーダー育成を図る組織マネジメントのプログラムを並行して走らせました。
(Step3) 事業化に向けたフィージビリティ・スタディを進めました。
この企業はその後、フィージビリティ・スタディに合格した事業アイデアについて、事業化の検討を進め、また技術開発を継続しています。
⑤新事業公募プログラムの事例 (情報通信企業、売上高0.8兆円)
この企業では、イノベーションを期待する風通しの良い「企業風土」の醸成と、社内に埋もれた「意欲の高い人材」の発掘を目的に、以下の「新事業公募」のプログラムを設計しました。
私自身も、このプログラムの設計からサポートまで、全工程に関わりました。
1.案件公募
2.第一次審査
3.企画書策定サポート
4.第二次審査 (通過チームには賞金提供)
5.事業計画策定サポート
6.第三次審査 (通過チームには社長賞100万円提供)
7.専任部隊(新事業推進室)による事業化推進
初年度の公募では、200件以上のアイデアが集まり、2つのチームが第三次審査を通過し、事業化を推進することとなりました。
その後、この会社は日経新聞から「優れた企業風土」の会社として表彰されましたが、その選定理由の一つに、活発な新事業公募プログラムが挙げられました。
このプログラムは、5年目の現在も続いており、この会社の企業文化としてすっかり定着しています。